KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会)

主に作家の日垣隆、猪瀬直樹、岩瀬達也、岡田斗司夫、藤井誠二などを検証しているブログです。

キャッチャー・イン・ザ・パクリー日垣隆『すぐに稼げる文章術』盗用疑惑

・初めてこのエントリーを読まれる方は「日垣問題の記録」「ガッキィスレまとめサイト@ウィキ」のご一読をおススメします。
※2012/9/08追記:エントリーを微修正しました。

・ブログタイトルの一部を変更しました。『KAFKAESQUE』→『KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会)』にです。一応、日垣センセイの検証が一段落するまで、ブログタイトルはこのままにしたいと考えています。
・日垣センセイ、facebookで他者の書き込みを一方的に削除し、またもやデマを撒き散らして姑息な情報操作、事実の捏造をやっています*1 *2。つくづく懲りない人です。



●日垣流「文章読本」?

日垣隆『すぐに稼げる文章術』(幻冬舎新書、2006年11月30日第一刷発行)は、日垣センセイによる文章指南の新書です。2006年11月30日に第一刷が刊行されて以来、例によってアルファブロガー兼多読家の小飼弾氏からブログのエントリーで絶賛されるなど、好意的に取り上げているブログは現在も少なくありません。

しかし、そうした評判とは裏腹に、本書*3は第一刷が刊行されてから約半年後の2007年7月に、ある重大な疑惑が発覚して、一部のネット上ではちょっとした騒ぎになりました。

そう、奇しくもあの唐沢俊一とほぼ同時期、かつ幻冬舎新書を舞台にした盗用事件です。



●第1の盗用事件『すぐに稼げる文章術』(幻冬舎新書

事の発端は、2007年5月頃に小石川雑記ブログ*4が、本書について山内志朗『ぎりぎり合格への論文マニュアル』(平凡社新書、2001年9月19日初版第1刷発行)からの盗用疑惑を指摘したことでした。この時は、それ程注目を集めなかったようですが、同年6月に小石川雑記ブログが、作家の大石英司氏のブログトラックバックしたことから、事態は急転直下、動き出します。翌7月に大石氏は、日垣センセイの盗用ぶりを別のブログ「日垣隆のシャラップ!である」にて検証すると同時に、一方の当事者である山内志朗氏に連絡しました。それを受けて確認した山内氏が盗用と断定し、版元の平凡社を通じて幻冬舎に抗議した……というのが事件の大まかな経緯です。

日垣センセイが、本書において、どの文章を上記の山内氏の著作から盗用したのか、該当部分は次の通りです。

これは半ば冗談ですが、エッセイと論文は以下のように書き換えができます。
P78

①「このあたりについて考えてみたい」(エッセイ)
         ↓
 「本節では以上のことが論じられる」(論文)

②「話がぐちゃぐちゃになってきた。ここまで書いたことを消すのはもったいないからそのままにしておくが、できたら忘れてほしい」(エッセイ)
         ↓
「議論が盤根錯節の観を呈してきたので、原点に立ち返って議論の道筋を確認しておきたい」(論文)

③「小林はバカだ」(エッセイ)
         ↓
「小林の見解には再考の余地が残る」(論文)
P79

④「私にはわかりません」(エッセイ)
         ↓
「解明できた研究者は少ない」(論文)

要するに、論文やエッセイには形式があるということです。
P80  

日垣隆『すぐに稼げる文章術』(幻冬舎新書、2006年11月30日第一刷発行)P78〜80


まず最初に、論文の文章にするために、私が目にした例を材料にしてどう書き直すと論文らしくなるか、いくつか挙げておく。(略)

・「この節ではこのことを中心に論じるつもりである」→「この節では以上のことが論じられる」
P182

・論文がグチャグチャになってきた。ここまで書いたことを消すのはもったいないから書いておくが、ここまで書いたことは忘れてほしい、つまり、文章の「リセットボタン」を押したい場合の言葉
(略)
→「議論が盤根錯節した観を呈してきたので、原点に戻って議論の筋道を確認しておこう」
P184〜185

私は分からない→解明できた研究者は少ない
〜はバカだ→〜の見解には再考の余地が残る
P187

山内志朗『ぎりぎり合格への論文マニュアル』(平凡社新書、2001年9月19日初版第1刷発行)P182〜187


私見ですが、これはどう考えても盗用です。というか、一目瞭然でしょう。似ているとか、偶然なんてレベルを超越しています。ここまでほぼそっくりな形でパクるとは、一抹の感動さえ覚え……る訳ありません。断じて。いずれにせよ、日垣センセイが山内氏の『ぎりぎり合格への論文マニュアル』から文章をコピペして、少し修正を加えて本書に載せたのは、火を見るより明らかです。

尚、上記の経緯及び盗用の検証については、大石氏も下記のブログのエントリーにて書いています。


盗作問題の類似点検証素材

日垣隆の盗作事件を検証する


とはいえ、盗用事件の被害者の山内氏及び平凡社サイドと、加害者の日垣センセイ及び幻冬舎サイドの間で、どのような交渉があり、最終的に問題は解決(決裂?)したのかは、現在に至るまで一切不明です。なぜなら、もう一方の当事者である日垣センセイ及び幻冬舎サイドが、盗用の事実だけでなく、経緯などについても完全に沈黙して事実上「無かったこと」にしているからです。

その後、本書は絶版・回収になるどころか、2008年10月頃に第四刷が刊行されました。残念ながら僕の手元には第四刷がありません。しかし、当時の2ちゃんねる日垣隆スレなど、ネット上の情報によると、以下のようにこっそり加筆修正してあったそうです。

p.78〜79(第3章 【中級編】実務文はこう書けば生まれ変わる)

《第1刷〜第3刷》

 好きな人のタイプについて「優しい人がいい」とか「8歩下がってついてくる人がい
い」と言ってもらうよりも、嫌いなタイプを3つ挙げてもらったほうがその人の本質がわ
かるものです。何かのテーマにつき賛成の意見を3つ挙げても論点がはっきりしない場合、
反対の意見を3つ挙げてもらうと良いでしょう。
 これは半ば冗談ですが、エッセイと論文は以下のように書き換えができます。

①「このあたりについて考えてみたい」(エッセイ)
          ↓
 「本節では以上のことが論じられる」(論文)

《第4刷》

 好きな人のタイプについて「優しい人がいい」とか「8歩下がってついてくる人がい
い」と言ってもらうよりも、嫌いなタイプを3つ挙げてもらったほうがその人の本質がわ
かるものです。何かのテーマにつき賛成の意見を3つ挙げても論点がはっきりしない場合、
反対の意見を3つ挙げてもらうと良いでしょう。 
 また例えばエッセイから論文へは、以下のように書き換えができます(山内志朗
「ぎりぎり合格への論文マニュアル」を参照)。

①「このあたりについて考えてみたい」(エッセイ)
          ↓
 「本節では以上のことが論じられる」(論文)

839:無名草子さん: 2009/03/21(土) 00:39:14(日垣隆・総合スレ★20)

p.200(第7章 文章で稼ぐための必読33冊)

《第1刷〜第3刷》

日垣隆『売文生活』(ちくま新書
 なぜ文章が売り買いされるようになったかということについて、実証的に書かれた一書
です。

◆同前『知的ストレッチ入門』(大和書房)
 仕事を効率的に進めたい方、インプットやアウトプットの速度を上げたい人、必要なも
のをすぐに取り出せるようにしたいとご希望の皆様に。

丸山健二『まだ見ぬ書き手へ』(朝日新聞社
 (以下略)

《第4刷》

日垣隆『売文生活』(ちくま新書
 なぜ文章が売り買いされるようになったかということについて、実証的に書かれた一書
です。

山内志朗『ぎりぎり合格への論文マニュアル』(平凡社新書
文字通り「ぎりぎり」だった大学生の長男にこの本をプレゼントしたところ、本当に次々
と小論文をクリアできるようになりました。多謝。

丸山健二『まだ見ぬ書き手へ』(朝日新聞社
 (以下略)

840:無名草子さん: 2009/03/21(土) 00:40:12(日垣隆・総合スレ★20)


因みに当時の2ちゃんねる日垣隆スレのログは、ガッキィスレまとめサイト@ウィキ盗作問題にも、ほぼ同様のものが残っています。

上記の第四刷での修正を見る限りでは、当事者同士の間で何らかの決着というか、手打ちらしいものがあったようですが……。結局、日垣センセイが引き起こした本書を巡る盗用問題は、マスコミ沙汰にならず、業界でも大石氏以外は殆ど誰も取り上げないまま、いつのまにか有耶無耶になっていきました。多くの謎を残したままです。とはいえ、マスコミ沙汰になった挙句、その後の対応を悉く誤り、第2の盗用事件なども発覚して自滅していった唐沢俊一とは、ある意味、明暗が分かれた……と、この時点では多くの方がそう見ていたと考えられます。

しかし……やはり日垣センセイは、日垣センセイでした。本書の盗用事件発覚から約4年後に、性懲りもなくまたもや新たな盗用事件を引き起こしたのです。



●第2の盗用事件「他人のブログの写真を盗用して、ツイート!」

日垣センセイは、2011年8月5日にtwitterにて、東北のある被災地を取材したと称し、現地の写真を添付してツイートしたのですが……その写真は、僅か10分足らずで、他人のブログから盗用したものであることが発覚しました。以下は、それをまとめたtogetterです。


週刊現代で連載中 被災地を食い物にしてる日垣隆氏 @hga02104 が被災地の写真をkaoriemate から無断盗用。矛盾だらけの言い訳をしてtwitterを非公開にして開き直り発言。

週刊現代で連載中!!被災地を食い物にしてる日垣隆氏 @hga02104 が他人の写真を投稿した言い訳が矛盾だらけで、嘘に嘘を重ねていくと辻褄があわなくなることを教えてくれました。

講談社週刊現代連載中 被災地を食い物の日垣隆氏 @hga02104 が被災地写真を kaoriemate 氏から無断盗用。矛盾の言い訳をしtwitterを非公開後、開き直り。 簡易版



日垣センセイは、一端は盗用の事実を認めて謝罪するも、その後またまた開き直って言い訳を重ねた挙句、一時的にtwitterを非公開設定にしました(現在は公開中)。「写真のシェアは時代の趨勢」って……この人は著作権法を知らないのでしょうかね。ただただ呆れるばかりです。

かつて日垣センセイは、作家の立松和平氏が引き起こした盗用事件について、痛烈に批判していました。

相手が死刑囚なら剽窃していいのか


立松和平氏が「すばる」八月号から連載していた小説「光の雨」を一〇月号で中断した。連合赤軍事件の坂口弘死刑囚が今春刊行した手記『あさま山荘1972』からの無断引用だと指摘を受けたためだ。
(略)
立松氏は「許容範囲と思っていた」と釈明するのだが、相手が死刑囚なら剽窃も許容されると判断したのか。ならば立松氏は連載だけでなく、作家であることをやめるべきだと私は思う。

永田洋子『十六の墓標』(彩流社)からの剽窃もあった。間違いは誰にでもある。だから問題は、「言い訳」がどうなされるか、で決まる。九八年、『光の雨』(新潮社)は無反省に刊行された。

日垣隆『敢闘言 さらば偽善者たち』(太田出版、1999年5月22日印刷/1999年5月28日初版発行)P84
日垣隆『敢闘言 さらば偽善者たち』(文春文庫、2002年4月10日第1刷)P45〜46
※初出・日垣隆「敢闘言」(『エコノミスト』1993年10月26日号)P11

尚、上記の引用文において「永田洋子〜刊行された。」の文節は、単行本・文庫化にあたり加筆したものと考えられます。*5


……今読み返してみると、感慨深いというか、これ以上ないくらい超特大のブーメラン発言です。日垣センセイは、第1の盗用事件を引き起こした時、かつての自分の言葉を噛みしめるべきだったのではないでしょうか。まあ、反省なんて全然しない、謝罪なんて形だけ、いつも悪いのは他人だという自己愛の塊みたいなのが日垣センセイですから、所詮は無理なんでしょうね。学習能力も限りなくゼロに近いですから……。誰かさんみたいに。

しかし、日垣センセイの盗用事件……今にして思うと、第1の盗用事件が発覚した時、版元の幻冬舎だけでなく、マスコミ及び出版業界が事態を重く見て、日垣センセイに相応のペナルティを科していれば、第2の盗用事件は未然に防げたのでないでしょうか。写真を盗用された被害者の方も、不愉快な思いをしないで済んだでしょう。そもそも第1の盗用事件では、実質的な共犯関係だった幻冬舎だけでなく、業界全体が事件を曖昧にしたことが、日垣センセイを甘やかし、つけあがらせた可能性があります。業界関係者には、この件でも深く反省して欲しいです。


余談ながら、日垣センセイと唐沢俊一は、「ほぼ同時期に幻冬舎新書で盗用発覚」「P&G(パクリ&ガセ)を繰り返してきた」「自己愛の塊」「1958年生まれ」「経歴詐称疑惑」という共通項など、個人的には気持ち悪いくらい似ていると考えています。明らかに違う部分もあるのですが。



★参考資料

日垣隆のシャラップ!である

ガッキィスレまとめサイト@ウィキ(盗用問題)

紋切型事典「日垣隆の著作に関する報告(再掲)」

日垣隆『すぐに稼げる文章術』が好きになれない理由

漫棚通信ブログ版「これは盗作とちゃうんかいっ・これは困った篇」

漫棚通信ブログ版「唐沢俊一『新・UFO入門』盗作騒動もくじ」

唐沢俊一 まとめwiki

ネット上の文章の盗用問題:『新・UFO入門 日本人は、なぜUFOを見なくなったのか』(唐沢俊一著)を巡って

唐沢俊一検証blog

藤岡真blog

すぐに稼げる文章術 (幻冬舎新書)

すぐに稼げる文章術 (幻冬舎新書)

ぎりぎり合格への論文マニュアル (平凡社新書)

ぎりぎり合格への論文マニュアル (平凡社新書)

敢闘言―さらば偽善者たち (文春文庫)

敢闘言―さらば偽善者たち (文春文庫)

パクリ・盗作 スキャンダル事件史 (宝島SUGOI文庫 A へ 1-83)

パクリ・盗作 スキャンダル事件史 (宝島SUGOI文庫 A へ 1-83)

キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)

キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)

*1:http://megalodon.jp/2012-0128-1711-58/hiyo.jp/cache/of/2012-01-28-17-16-33/http://www.facebook.com/higakitakashi/posts/355505821144450

*2:http://megalodon.jp/2012-0130-1743-59/hiyo.jp/cache/of/2012-01-30-16-18-01/http://www.facebook.com/higakitakashi/posts/355505821144450

*3:日垣隆『すぐに稼げる文章術』(幻冬舎新書

*4:現在はリンク切れにより消滅している。

*5:実際、件の日垣隆「敢闘言」『エコノミスト』(毎日新聞社、1993年10月26日号)P11には、引用部分の「永田洋子〜刊行された。」の文節は無い。