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※2013/3/23追記:エントリーを更新しました。「情報洪水をテキパキさばく」仕事効率化ツール【1】仕事場編 | プレジデントオンラインの記述を追加。
●日垣隆インタビューのプロフィール欄のデタラメ
前回のエントリーでも少しだけ取り上げた自炊代行業者『BOOKSCAN』による日垣センセイのインタビュー記事。前回は日垣センセイの不可解なライターデビュー年と受賞歴を問題にしましたが……他にも突っ込みどころが満載なので、どうしても気になった箇所を数点だけ検証してみます。
まずはプロフィール。
1958年、長野県生まれ。東北大学法学部卒業。販売、配送、書籍の編集、コピーライターなどを経て87年より作家、ジャーナリストへ。『辛口評論家の正体』で編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞・作品賞、『そして殺人者は野に放たれる』で新潮ドキュメント賞を受賞。海外取材70カ国、TBSラジオの科学対談番組『サイエンス・サイトーク』のホスト役を務めるほか、有料メルマガ『ガッキィファイター』(週刊)を発行するなど、多方面で活躍中。世界各地への取材、単行本とメルマガの執筆に専念している。単著は約100冊。オリジナル電子書籍は別に180点超。近著に『つながる読書術』(講談社現代新書)、など。
「TBSラジオの科学対談番組『サイエンス・サイトーク』のホスト役を務める」って、日垣センセイは既に『サイエンス・サイトーク』のホスト役を降板し、それに伴って同番組も2010年4月4日の放送を最後に終了しています*1。このような記述では、現在も同番組が放送中で、日垣センセイもホスト役を続けているかのような誤解を与えかねません……。
「有料メルマガ『ガッキィファイター』(週刊)を発行する」とありますが、日垣センセイのここ数年のメルマガの発行頻度は、週刊ペースとは必ずしも言い難く、むしろ不定期という表現が実情でしょう*2。そもそも『ガッキィファイター』の配信遅延問題は、有料化した直後(2003年頃)から燻っています*3。
「単著は約100冊。オリジナル電子書籍は別に180点超。」というのも、明らかにおかしいです。手元にある日垣センセイの著作を数えてみたところ、現時点(※2013年3月21日)における日垣センセイの「日垣隆」名義での単著は、文庫版を合わせても計69冊です*4。これに共著約9冊*5を換算しても78冊前後です。
オリジナル電子書籍にしても公式サイト『ガッキィファイター』によると、現時点では「サイト限定電子書籍」が13点、「オリジナル電子ブックレット」が42点、「対談集」が62点、「講義録」が6点の合計123点。「読者イベント記録」の38点を加えても、計161点です。
「絶版本電子書籍」の25点を合計すれば、計186点で「180点超」になりますが……絶版になった既刊本を電子書籍で復刻したものは、「オリジナル電子書籍」の定義には該当しないでしょう。
一体、日垣センセイ及び『BOOKSCAN』サイドは、何故殊更に数字を盛っているのでしょうか。
●日垣隆の英語力
―― 日垣さんは短期集中で英語を学習されて、TOEIC900点越えをされたんですよね。
日垣隆氏: この年で去年8ヶ月を費やして学習しました。僕は皆に「5時間学習せよ」と言っているんですが、働いてる人は、この時間が限度だとは思います。12月31日と1月1日も休まずやりました。こないだ亡くなられた団十郎さんが、「1日休めば自分が下手だと分かる」と。「2日休めば相手役がその下手さに気付く」と。「3日休めばひいき筋が見破ってしまう」という言葉を残しています。英会話も英語も多分そうなんだろうなと思うんですよね。そういう意味では1月1日に日本語を休みませんよね。12月28日に仕事納めだからって日本語を休みませんよね(笑)
―― いや、それは凄い鬼気迫るというか、本当に真剣にやるんだっていう心構えの表れですよね。
日垣隆氏: 去年の4月は僕は完全な劣等生で、もうドンケツから入ったくらいなので、まさか人さまに配信する立場になるとは思わなかったんです。これもひろい意味ではメールマガジンとかそういう通信のものなんですが、それを英語学習で配信するというのは、電子書籍の一部みたいなものですね。
日垣センセイがTOEIC900点を越えたとは、これもまた信憑性を著しく欠いています。公式サイト『ガッキィファイター』にて開講している英語塾(英語学校?)*6。日垣センセイ自らが作成して教材に使われているらしい(?)PDFファイル、公式サイトにある「日垣塾英語学校「もう英語では苦労しない(でも苦労するw)」課題集」のサンプルを読んでみても、日垣センセイの英語力は、TOEIC900点達成にはほぼ遠いお粗末なレベルだと思うのですが。
大体、日垣センセイの英語力は、昔からせいぜい中学生レベルでした*7。去年も語学留学先のフィリピン英語学校で下らないトラブルを起こして、学業半ばで事実上の放校処分を喰らっています*8。これで本当に「短期集中で英語を学習」したと言えるのでしょうか?
●蔵書数にも疑問符が!
―― 蔵書はいまこちらにあるだけで何冊くらいですか?
日垣隆氏: ここは7万冊くらいあると思うんですけど。上が全部書庫なんですよね。こういう状態が良いかどうかっていうのはやっぱり迷いますよね。年齢的にも、いま30歳なのと70歳というのじゃもう全然違うと思うんですね。70歳だったらもう何も迷わずにこのまま行きますよね。30歳だったら何も迷わずに電子書籍化して自分の所有物にすると思います。だからその中間の年齢で股裂き状態みたいな感じですよね(笑)。金曜日まで、15日くらいイスラエルへ行ってきたんですけれど、その間にもやっぱり本を持ってっちゃうんです。しかも途中で買ったりするので、40キロくらいになる。40キロって結構重いんですよ。デバイスは基本的に一通り使いましたけれども、なんだかんだ言って分けちゃうとやっぱり使いづらいわけですよ。
日垣センセイ曰く「(蔵書は)7万冊くらいあると思う」とのことですが……しかし、例によって著作などでは次のように語っています。
職業柄、専用の書庫がいくつかあり、自分で言うのも何であるが、どの部屋もよく整理されているので、どこにどんな本が置かれているかを忘れることはまずない。ただし、記憶力が良くないことは、娘をペットの名で呼んでしまうことからも明らかである。30年前の雑談でも、脈絡さえあれば覚えているのに、固有名詞は忘れる。固有名詞どころか、忙しくなると、とんでもないことも起きる。
(中略)
けれども、2万冊程度の蔵書なら、どれがどの書棚にあって、しかも上から何段目の、左から何冊目くらいに置かれていて、付箋が貼ってあるおよそ何番目を開くと、そこにどんなことが書かれているか、という程度のことなら正確に覚えている。ヘンなのか。
日垣隆『通販な生活 一生を1ギガで終えないための買い物学』(講談社、2008年4月17日第1刷発行)P106〜107
日垣 ものすごく貴重で、刺激的なものを見せて頂きました。
私の先輩方は、多くは東京でフリーランスの文筆業をしているわけですが、田舎に書庫を造るとかマンションを別に借りるなどの対策をこうじています。
それを見ていて、私としては東京都内で仕事部屋と書庫が同じフロアにあるというのが理想だった。しかし、そうすると二万冊が限界だろうと思っていたわけです。マンションで二百三十平米くらいあれば、仕事部屋と二、三個の書庫を持って二万冊が収まるからそのくらいでいいだろうと考えていました。今日までは(笑)。しかし、まったく考えが変わりましたね。
渡部*9 変わりましたか(笑)。
日垣 変わりますよ、十五万冊を所蔵した書庫を見てしまうと。
二万冊というと一つの本棚に三百冊収まるとして、七十本くらいの本棚が必要だという計算になります。いつも手に届くところに二万冊があるというのは、物書きの蔵書量としては、そんなに少ないほうではありません。
しかし、二万冊と自分で決めてしまうと、それ以上増やせない。ライターや作家にとて本を読む、読んだ本を使うというのは、生命活動のように自然で必須の営みです。ですから本を増やせないというのは、戦略的に間違っていると思います。
また、新しく本を増やしたとしても、限界を二万冊と決めていれば増えた分、捨てなければならない。自分が読んだ本を捨てるというのは、ものすごくエネルギーが必要です。
日垣隆『怒りは正しく晴らすと疲れるけれど』(ワック、2009年8月8日初版発行)P310〜311
※初出・『WiLL』(ワック、2008年2月号)
全資料のデジタル化を提唱している人もいますが、デジタルへの一元化は、断じて効率的ではないと考えています。現在の蔵書は約2万冊。過去の仕事で参考にした本はすべて保管しています。それに加え、裁判調書など何メートルもの高さになる紙の資料がいくつもある。それらをすべてスキャンすることは現実的ではありませんし、無意味です。資料の置き場がなくて、やむなくデジタル化するというのならわかりますが、一元化が目的になっては本末転倒です。
日垣隆「情報洪水をテキパキさばく」仕事効率化ツール【1】仕事場編(PRESIDENT 2010年7月19日号)*10
私の蔵書は、今のところ3万冊程度です。
P83最近、私は久々に引っ越すのもアリだと思い、あるマンションのパンフレットを見ていた。
今仕事部屋として借りているマンションより、やや広い。前篇でも書いたとおり私の場合、捨てられない蔵書だけで3万冊あるから、230平米ほどの広さが必要なのだ。ここより15平米も広い。買うか。
P122
日垣隆『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』(講談社、2011年4月28日第1刷発行)P83、P122
私の仕事部屋には、現時点で四万冊ほど蔵書があり、あと二万冊は置けるスペースを確保していますので、当面は安心できます。
日垣隆『つながる読書術』(講談社現代新書、2011年11月20日第1刷発行)P217
日垣センセイの過去の自己申告では、2008年〜2010年頃までの蔵書数は約2万冊、2011年頃には3〜4万冊とのことです。常識的に考えても、この2年間で蔵書数が万単位で倍増するとは考えられません。2008年〜2011年の増加ペースから見ても、甚だ不自然です。
そもそも、日垣センセイは本の年間購入数について、以下のように述べています。
※第一刷*11
私は1年に3000冊ほど本を買い、毎日たくさんの本を読んでいます。
日垣隆『すぐに稼げる文章術』(幻冬舎新書、2006年11月30日第一刷発行)P167
※第四刷*12
私は1年に3000冊ほど本を買い、毎日たくさんの本を読んでいます。
日垣隆『すぐに稼げる文章術』(幻冬舎新書、2006年11月30日第一刷発行/2008年10月10日第四刷発行)P167
従来、書籍の年間購入ペースが「1年に3000冊ほど」だったというのに、ある時期から急にペースを上げて、1年間に万単位で本を買い漁るようになるでしょうか。いくら上記の渡部氏から発破を掛けられたとはいえ……。
余談ながら、この『BOOKSCAN』のインタビュー。日垣センセイの他、田口ランディ、上杉隆、唐沢俊一も受けています。いずれも日垣センセイ同様、過去に盗用事件(盗用疑惑)を起こしたメンツです*13。こんな手合いに「電子書籍」をテーマに延々と語らせるなど、ブラックジョークもいいところです。やはり新手の炎上マーケティングなのか……。
★参考資料
フィリピン英語留学顛末 - ガッキィスレまとめサイト @ ウィキ - アットウィキ
日垣問題の記録 ~ 日垣隆 研究報告 ~: サイエンス・サイトーク 放送内容リスト
http://www34.atwiki.jp/ddic54/pages/102.html
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*1:痴愚神自讃ー検証・日垣隆『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』(その四) - KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会)
*2:『ガッキィファイター』(2009年のメルマガ目次) 『ガッキィファイター』(2010年のメルマガ目次) 『ガッキィファイター』(2011年のメルマガ目次) 『ガッキィファイター』(2012年のメルマガ目次) 『ガッキィファイター』(2013年のメルマガ目次)
*3:日垣問題の記録 ~ 日垣隆 研究報告 ~: 有料メルマガ配信遅延問題
*4:但し、電子書籍版『遙かなる旅』【日垣隆編集・執筆/故・山根昌子(口述)】も計算に入れると、合計70冊になる。→ http://gfighter.net/00042/090926000580.php
*6:「ほぼ毎日スパルタ英語強化塾」 2013年会費 【一般価格】 「ほぼ毎日スパルタ英語強化塾」 2013年会費 【メルマガ読者特割】 「世界一安くて8番目くらいに厳しい英語塾開講」
*8:フィリピン英語留学顛末 - ガッキィスレまとめサイト @ ウィキ - アットウィキ
*9:評論家・英語学者の渡部昇一氏のこと。→ WOLF'S DEMAー検証・日垣隆『そして殺人者は野に放たれる』の評判(補論) - KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会)
*10:「情報洪水をテキパキさばく」仕事効率化ツール【3】鞄の中身編 | プレジデントオンライン
*11:山内志朗『ぎりぎり合格への論文マニュアル』(平凡社新書、2001年9月19日初版第1刷発行)からの盗用が発覚し、問題となった部分を修正する前の初版である。→ キャッチャー・イン・ザ・パクリー日垣隆『すぐに稼げる文章術』盗用疑惑 - KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会) The Pide Piper of Naganoー日垣隆『すぐに稼げる文章術』盗用疑惑(補論A) - KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会)
*12:盗用元からの抗議を受け、問題となった盗用部分を「修正」して発売した改訂版である。→ キャッチャー・イン・ザ・パクリー日垣隆『すぐに稼げる文章術』盗用疑惑 - KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会) The Pide Piper of Naganoー日垣隆『すぐに稼げる文章術』盗用疑惑(補論A) - KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会)
*13:田口ランディ盗作疑惑(1) http://www34.atwiki.jp/ddic54/pages/102.html トップページ - 唐沢俊一 まとめwiki - アットウィキ