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●月刊誌『創』(2013年4月号)に掲載された佐野眞一の盗用疑惑「言い訳」手記
現在発売中のメディア批評誌『創』(2013年4月号)P106〜115に、盗用疑惑で揺れる佐野眞一による手記「『ガジェット通信』の批判に応えるー「無断引用」問題をめぐる最初で最後の私の「見解」」が掲載されています。渦中の佐野本人が自身の盗用疑惑について、詳細に語っているのですが……延々と苦しい自己弁解を続けているだけで、冗長な代物。感想を一言で言えば「何言ってるのこの人?」です。
とにかく、あまりにもツッコミどころが満載で、どこから突っ込んでいいのか分からないぐらいです。当ブログは日垣センセイの「検証」を主にやっているため、佐野眞一の検証は見送っていますが、少しだけ取り上げます。まずタイトルの「無断引用」。これからして、佐野眞一は「引用」に関して何も分かっていない可能性があります。数々の賞を受賞したノンフィクション界の権威とやらが、この程度の認識とは。
そもそも「引用」なんていくらでも著作権者に無断でやって構いません。著作権者が「引用」を拒否できるのは、基本的に著作権法及び判例で定められた法的要件をクリアーしていない場合と、著作物を公表していない場合*1です。
佐野眞一は自身の転載方法を「盗用」ではなく、あくまで「引用」だと強弁しているのですから、「無断引用」なんて言葉からして佐野が著作権法を全く理解していない証左と言えます。
尚、著作権法32条では、引用に関して下記のように規定しています。
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
2 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。
さて、佐野眞一は、上記の『創』の手記で同業者の溝口敦氏へ内々に「詫び状」を出した件*3だけでなく、石牟礼道子氏にも水俣病のシンポジウムで口頭謝罪したこと、また作家の深田祐介氏にも担当編集者を通じて既に陳謝していたことなど、過去の盗用を巡る他のトラブルでの「お詫び」も明らかにしています。因みに、今後はいずれも問題となった該当書籍の改訂版を出す予定だとか。
しかし、です。溝口敦氏の件でトラブルになった時、溝口氏が比較的寛大な処分を取ったことに甘えて、佐野眞一はその後も性懲りもなく、盗用を繰り返していたのではないでしょうか。しかも、発覚する度に「謝罪すれば全てチャラ」で済ませているような気がします。
最初から相手に許してもらうことが前提の「謝罪」など、しないよりマシな程度であって、あまり意味が無いと考えますが……。「盗用を繰り返しても、その都度謝罪すれば全てチャラ」というような姿勢も不誠実の極みです。これこそ佐野眞一を結果的に甘やかし、つけあがらせたのでは?
それにしても、こんなデタラメな「言い訳」手記の掲載を許した『創』も脇が甘いというか、危機管理がなっていないような。かつて『創』は唐沢俊一による盗用事件が他の媒体で次々と発覚しても、唐沢と岡田斗司夫との対談連載を続けさせていました*4。おまけにネット上での唐沢の盗用批判をくさす対談まで……*5。
今回の佐野眞一の「言い訳」手記に唐沢俊一の件も含めて、『創』も盗用問題に大甘なのでは、と勘繰りたくなってきます。
最後に、現在、『ガジェット通信』にて佐野眞一の盗用問題を追及している荒井香織氏は、実はかつて日垣センセイのスタッフとして、日垣センセイによる第1の盗用事件に深く関与していた疑惑のある方です。改めて指摘しておきます*6。
★参考資料
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO048.html
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*1:例えば、未発表の手紙、日記などのことである。
*4:唐沢俊一と岡田斗司夫との連載対談「新世紀オタク対談」は、『創』(2008年12月号)で終了している。
*5:『創』2008年2月号 - 唐沢俊一 まとめwiki - アットウィキ
*6:THE UNLIMITED 佐野眞一vs荒井香織(+中島麻美)ー検証・日垣隆『すぐに稼げる文章術』盗用疑惑(補論C) - KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会)