KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会)

主に作家の日垣隆、猪瀬直樹、岩瀬達也、岡田斗司夫、藤井誠二などを検証しているブログです。

Good-bye, journalist!−日垣隆「ジャーナリスト廃業宣言」

・初めて当エントリーを読まれる方は「日垣問題の記録 〜 日垣隆 研究報告 〜」「日垣隆(Wikipedia)」「ガッキィスレまとめサイト@ウィキ」の御一読をおススメします。
・当ブログへの御意見・御感想は、下記のメールアドレスまで御連絡下さい。
kafkaesque1924@gmail.com


Amazonレビュアー【懸垂百回】さんが、例の荒井香織・溝口敦両氏の編著『ノンフィクションの「巨人」佐野眞一が殺したジャーナリズム 大手出版社が沈黙しつづける盗用・剽窃問題の真相 』(宝島NonfictionBooks、2013年5月6日第1刷発行)について、主に法律学、職業倫理の観点から考察した秀逸なレビューを書いておられます。荒井・溝口両氏は、ブーメランを脳天に突き刺しているのも同然ですね。

Amazon:荒井香織は,自身の「疑惑」については何も答えないの?

他にも『<盗作>の文学史』(新曜社)『パクリ・盗作 スキャンダル事件史』(宝島SUGOI文庫、2009年1月1日第1刷発行)への寄稿でも知られている評論家の栗原裕一郎氏が、ネット上の言論フォーラム『REAL-JAPAN.ORG』で、前出の荒井・溝口両氏による佐野告発本での「検証」の具体的な問題点を炙り出した上で、日本の盗用の歴史、司法判断のハードルの高さなどを豊富な事例を交えて明らかにした優れた論考を発表しています。

盗作事件史から考える佐野眞一の盗作疑惑事件 – REAL-JAPAN.ORG

僕も先日、遅ればせながら佐野告発本を一読しましたが……上記の御二人の御意見にほぼ同意です。一見、荒井氏らの追及は緻密な「検証」のようで、実は杜撰かつ矛盾も多く、版元及び編著者が正確さよりもセンセーショナルな話題性を重視しているのではないか、と強烈な違和感を抱いていたので。そのモヤモヤ感を、いい意味で吹き飛ばしてくれました。懸垂百回さんも指摘していますが、栗原氏の断り書きが事実だとすると、結局、佐野告発本は荒井・溝口両氏と宝島社が「売れればいいじゃん!」的なノリで出した部分もあるでしょう。或いは義憤(?)に駆られる余り、オーバーランしてしまった可能性も。

また栗原氏は自身のツイートに質問したアラジンという方に答える形で、前記の論考の掲載見送りの原因を述べています。

@y_kurihara*1 さすが栗原さんと思わせる論考ですが、見送りの原因は何だったとお考えになっていますか。

2013年6月8日 - 10:59*2

@aladdin7400*3 本の(というより編著者のでしょう)論調との齟齬じゃないかと。あと、編集部が(というより編著者がだと思いますが)用意した盗用対照表を使っておきながら、それを批判するというのは敬意が足りないだか尊重してないだかみたいなこともいわれました。

2013年6月8日 - 13:54*4

@y_kurihara ご回答有り難うございます。宝島社の原著を読みましたが、対照表を見て、盗用と言ってしまっていいの?と思う部分が私もありました。まさに松沢氏の裁判で示すところの単なる事実という問題ですよね。佐野氏の手法への批判と盗用件数の問題は別次元で考えるべきと思います。

2013年6月8日 - 19:59*5

@aladdin7400 担当編集者も佐野氏に対して本気である種の義憤を覚えていたようで、ジャーナリストとしての「モラル」喪失を糾弾したいようでした。盗作疑惑を中心にしてそこに切り込むと、超法規的に断罪するという構図になりがちなんですが、やはりそうなったということでしょうか。

2013年6月9日 - 9:57*6


余談ながら、栗原氏は上記の論考の中で日垣センセイの盗用事件にも少しだけ言及しています*7。実はこれまで栗原氏がそのことに殆ど言及してこなかったのは、単に興味が無いのか、又はかつて『日経ビジネス』の書評で、日垣センセイを肯定的に評価していたからではないかと疑っていました。

前世紀の終わりくらいから、犯罪者を取り巻く環境と世論が大きく変わりはじめた。少年法と刑法39条をめぐる問題である。

 少年法も39条も同一の理念に貫かれていた。大雑把にいうとそれは、子供や狂人は責任を負えるだけの理性を備えておらず、したがって「人間」じゃないから、人を殺そうが何をしようが手厚く庇護して矯正してあげなければいけないというものだったわけだが、そのコンセンサスが揺らぎだしたのだ(芹沢一也『ホラーハウス社会』講談社+α新書などを参照のこと)。

 大きな要因のひとつは、「犯罪被害者」という存在が“発見”されたことだった。

 加害者の「人権」は至れり尽くせりなほど守られるのに、被害者(およびその遺族)のほうは、被害を受けた当事者だというのにないがしろにされ、極度に不条理な状況にさらされていることが表面化しだしたのだ。

 きっかけとなったのは地下鉄サリン事件酒鬼薔薇事件だが、犯罪被害者の肉声を世に問う、日垣隆藤井誠二らのほどんど執念といっていい活動も少なからず寄与したことは間違いない(日垣『そして殺人者は野に放たれる』新潮文庫、藤井『殺された側の論理』講談社ほか)。

刑務所で稼いで被害者に償え!〜『この国が忘れていた正義』中嶋博行著 (評:栗原裕一郎)文春新書、710円(税別)『日経ビジネスONLINE』「2007年9月6日(木)」*8


残念ながら、栗原氏も日垣センセイのペテン本『そして殺人者は野に放たれる』(新潮社)にまんまと引っ掛かっていたようです*9。脇が甘いというか……。

個人的に佐野告発本で「これは……?」と首を傾げ、或いは抱腹絶倒した部分などについては、いずれ別のエントリーにて書く予定です。


日垣隆、突然の「ジャーナリスト廃業宣言」

本題。5月30日に日垣センセイが突如、自身のfacebook投稿の中でジャーナリスト廃業を宣言しました*10

日垣隆

本日をもってジャーナリストを卒え(原文ママ)ます。廃業。
意に反する内容を書いたことは、この26年間一度もありません。これだけは誇っても良いのかも。

今朝からは、デザイン、会社再建、ギャンブラー、作家、トレーダー、コンサルタント、貿易、和平、救済、武器撲滅、学校経営、アドバイザーをしてゆき(原文ママ)ます。7割は遊び。仕事は以来(原文ママ)があるか否かだけの違い。やりたいことを正しくやるために稼ぎを倍々にーーこれは変わらず。

有料メルマガ購読者も今月末で9,800人を超えました。少数精鋭のクレドや語学学校にも全力。サスティナビリティ*11を優先。行政のアリバイ(審議委員)や時間取られる超安月給(大学教授)や企業の飼い犬(顧問)はお断りしてきましたし、これからも受けません。


来るべき時が遂に来たと言うべきなのか、僕は日垣ウォッチャーの端くれですが、特に感慨はありません。最近の日垣センセイは、『つながる読書術』(講談社現代新書、2011年11月20日第1刷発行)以降、現在に至るまで新刊はゼロ。連載も有料メルマガ以外、『週刊現代』(講談社)誌上のコラム「なんなんだこの空気はーメディア考現学」が同誌2012年8月11日号で打ち切りになったのを最後に皆無の状態が続いていました*12。にも拘らず、この期に及んで誤字まみれの廃業宣言文。有終の美を飾るどころか、晩節を汚しまくっている悪印象が……。しかも「僕はジャーナリストを辞めても凄いんだぞ!」と言わんばかりにナルシシズム全開で、ぞろぞろと夥しい数の肩書を書き連ねています。というか、「和平」「救済」「武器撲滅」って何なんですか。意味不明も甚だしい。とどのつまり、思い付きを片っ端から並べているだけなのでしょう。「有料メルマガ購読者も今月末で9,800人を超えました。」など到底ありえません*13。今更突っ込むのもアホらしいです。

そもそも、この「ジャーナリスト廃業宣言」。上杉隆「ジャーナリスト無期限活動休止宣言」の既視感が……。

ただ、日垣センセイ。「ジャーナリスト」は廃業すると宣言しても、「作家」は一応続ける意向のようです。従って、新刊及び他媒体での新連載は、今後もまだ可能性としてはありえます。

それから、日垣センセイは「意に反する内容を書いたことは、この26年間一度もありません。」と明記していることから、ライター(ジャーナリスト?)デビューしたのは、逆算して「1987年」ということになります。下記のリンク先のエントリーでも検証しましたが、やはり1987年デビューが有力のようです。

ランナーズ×ライターズー検証・日垣隆「ライターデビュー年&受賞歴の謎」 - KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会)


当ブログでは「作家・元ジャーナリスト」の日垣センセイの検証に引き続き取り組んでいきます。



ネット上に突然アップされた日垣センセイの最新インタビュー。本年5月頃に行われたらしい。


相変わらずボソボソと聞き取りにくい声で喋る日垣センセイ。というか、2年近く新刊を出していない自称「作家」に、「本を出すにはどうしたらいいですか?」と質問するインタビュアー……。


★参考文献

『パクリ・盗作 スキャンダル事件史』(宝島SUGOI文庫、2009年1月1日第1刷発行)

Amazon:荒井香織は,自身の「疑惑」については何も答えないの?

栗原裕一郎 - Wikipedia

http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20070830/133599/?rt=nocnt

盗作事件史から考える佐野眞一の盗作疑惑事件 – REAL-JAPAN.ORG

「無断引用」問題をめぐる最初で最後の私の「見解」(『創』2013年4月号より)佐野眞一 - 月刊「創」ブログ

佐野眞一氏の「パクリ疑惑」に迫る | ガジェット通信 GetNews

上杉隆 - Wikipedia

http://www34.atwiki.jp/ddic54/

上杉隆のデマや怪しい発言など - NAVER まとめ

NBNT代表 上杉隆(うえすぎ たかし)

上杉隆氏のジャーナリスト休業理由「犯罪に加担したくない」│NEWSポストセブン

グッド・バイ (新潮文庫)

グッド・バイ (新潮文庫)

グッバイ、レーニン! [DVD]

グッバイ、レーニン! [DVD]

〈盗作〉の文学史

〈盗作〉の文学史

パクリ・盗作 スキャンダル事件史 (宝島SUGOI文庫 A へ 1-83)

パクリ・盗作 スキャンダル事件史 (宝島SUGOI文庫 A へ 1-83)

この国が忘れていた正義 (文春新書)

この国が忘れていた正義 (文春新書)

そして殺人者は野に放たれる (新潮文庫)

そして殺人者は野に放たれる (新潮文庫)

つながる読書術 (講談社現代新書)

つながる読書術 (講談社現代新書)

ホラーハウス社会 (講談社+α新書)

ホラーハウス社会 (講談社+α新書)

*1:栗原裕一郎氏のツイッターアカウント。

*2:アラジン on Twitter: "@y_kurihara さすが栗原さんと思わせる論考ですが、見送りの原因は何だったとお考えになっていますか。"

*3:アラジン氏のツイッターアカウント

*4:栗原裕一郎 on Twitter: "@aladdin7400 本の(というより編著者のでしょう)論調との齟齬じゃないかと。あと、編集部が(というより編著者がだと思いますが)用意した盗用対照表を使っておきながら、それを批判するというのは敬意が足りないだか尊重してないだかみたいなこともいわれました。"

*5:アラジン on Twitter: "@y_kurihara ご回答有り難うございます。宝島社の原著を読みましたが、対照表を見て、盗用と言ってしまっていいの?と思う部分が私もありました。まさに松沢氏の裁判で示すところの単なる事実という問題ですよね。佐野氏の手法への批判と盗用件数の問題は別次元で考えるべきと思います。"

*6:栗原裕一郎 on Twitter: "@aladdin7400 担当編集者も佐野氏に対して本気である種の義憤を覚えていたようで、ジャーナリストとしての「モラル」喪失を糾弾したいようでした。盗作疑惑を中心にしてそこに切り込むと、超法規的に断罪するという構図になりがちなんですが、やはりそうなったということでしょうか。"

*7:[日垣隆「盗用」] - KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会)

*8:http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20070830/133599/?rt=nocnt

*9:赤頭巾ちゃん、オオカミ中年に気をつけてー検証・日垣隆『そして殺人者は野に放たれる』(結論) - KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会)

*10:日垣隆 本日をもってジャーナリストを卒えます。廃業。

*11:持続可能性のこと。→ 持続可能性 - Wikipedia

*12:さよなら盗用先生ー日垣隆『週刊現代』連載コラム「なんなんだこの空気はーメディア考現学」打ち切り決定! - KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会)

*13:日垣隆先生のメルマガ部数 - Togetter