KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会)

主に作家の日垣隆、猪瀬直樹、岩瀬達也、岡田斗司夫、藤井誠二などを検証しているブログです。

赤頭巾ちゃん、オオカミ中年に気をつけてー検証・日垣隆『そして殺人者は野に放たれる』(補論I)

東京ビッグサイトで開催されるコミックマーケット85にサークル参加します。

日時:3日目(2013年12月31日/火曜日)
サークル配置場所:西ホール ま23b
サークル名:カフカールナ!
新刊:「ガッキィハンター 日垣隆検証本vol.1『そして殺人者は野に放たれる』の大研究」¥1500
部数:30部

 サークルの詳細については、コミケカタログ(Web)なども御参照下さい。

・東京中野ブロードウェイ3Fにあるサブカルショップ「タコシェ」にて、上記の新刊の通販及び委託販売が決定しました。販売・発送は2014年1月4日以降です。通販の受付は1月1日頃から開始するとのことです。部数の在庫は、現時点では15部を予定しています。タコシェの公式サイトで正式発表があり次第、改めて当ブログで告知します。

 
・初めて当エントリーを読まれる方は「日垣問題の記録 〜 日垣隆 研究報告 〜」「日垣隆(Wikipedia)」「ガッキィスレまとめサイト@ウィキ」の御一読をおススメします。
・当ブログへの御意見・御感想は、下記のメールアドレスまで御連絡下さい。
kafkaesque1924@gmail.com


・先日、徳洲会の金銭スキャンダルで都知事を辞任した猪瀬直樹氏について、東京新聞がノンフィクション作家の池田房雄氏の興味深い証言を載せています。

猪瀬氏が世に知られるようになったのは一九八七年、「ミカドの肖像」で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞してから。しかし、出世作は完全なオリジナルではなく「タネ本があった」と、ノンフィクション作家の池田房雄さんは指摘する。調査や資料集めで猪瀬氏を支えた、かつての仲間の証言だ。「独創性はない。参考文献に載せていないのもおかしい」。別の関係者は「猪瀬氏は大宅賞をすごく欲しがっていた」と振り返る。

「政界入り 次第に自慢」『東京新聞』2013年12月19日夕刊

 さらに月刊誌『テーミス』(2013年1月号)では、『ミカドの肖像』(小学館)の参考文献に載っていないタネ本(ネタ本)の具体的な書名も明らかにされていました。

ところが、当の猪瀬氏にも盗用疑惑がある。猪瀬氏は『ミカドの肖像』で(’86年)で佐野氏に先駆けて大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。しかし、それには『堤義明 悪の帝王学』(早川和廣著’81年)、『西武商法 悪の構図』(草野洋著’83年)の2冊のネタ本があったと指摘される。 『ミカドの肖像』のハイライト部分は、旧皇族北白川宮家の所有していた土地を西武鉄道グループの堤康次郎氏が取得したことにあるが、それらのカラクリが先の2冊に書かれていた。『ミカドの肖像』のあとがきには参考文献が膨大に挙げられているにもかかわらず、この2冊については全く触れられていないのだ。  ほかにも菊池寛賞を扱った『いのち(原文ママ)の王国』、『黒船の世紀』『ピカレスク』などでも、関係者が“パクリ疑惑”を指摘している。猪瀬氏を知る関係者は「書くほうから書かれるほうになり、いままでのことが蒸し返される可能性もある」と洩らす。

佐野眞一3猪瀬直樹‐盗用疑惑を追う」月刊誌『テーミス』(2013年1月号)


 猪瀬氏にも盗用疑惑があることは以前にも少し触れましたが……*1、これは調べてみる価値がありそうな。日垣センセイの検証が一段落したら、取り上げてみるのも面白いかもしれません。

 余談ながら、あの荒井香織氏も上記の『テーミス』記事を読んでいたらしいですが、佐野眞一の盗用を告発した猪瀬氏への敬意からか、同氏の盗用疑惑についてはスルーしています。

月刊「テーミス」1月号の紙版も入手。猪瀬都知事を非難するくだりで見出しが『ミカドの象徴』になっており、テキストを全文転載したウェブサイトでもそのまま。「肖像」だろ。ダメだコリャ。ライターがガジェ通の記事から無断盗用してるうえに、編集部の目は節穴だらけのザル校正かよ

2013年1月7日 - 15:36*2


 佐野の盗用について口を極めて非難しながら、猪瀬氏の盗用疑惑には沈黙するダブルスタンダード。日垣センセイの盗用のお先棒を担いだ疑惑といい*3、荒井氏こそ偽善者ですね。

斎藤環の誤謬

 本題。『そして殺人者は野に放たれる』の文庫版で解説を担当していた斎藤環氏の間違いについて。

日垣さんによれば、我が国では、殺人者の四割もが不起訴になっているという衝撃的な事実があります。

斎藤環「解説‐「被害者」「加害者」「患者」のいずれでもありうる「あなた」自身のための名著」日垣隆『そして殺人者は野に放たれる』(新潮文庫、平成十八年十一月一日発行/平成十九年二月二十日四刷)P.315

 斎藤環氏は「不起訴」と「起訴猶予」を混同している可能性があります。不起訴とは、文字通り検察官が起訴しないことであり、「有罪にできないから起訴しない」ことも意味します。一方、起訴猶予とは「有罪にできるが起訴しない」という温情的処分であって、両者は似て非なる概念です。

 「殺人者が不起訴」ということで、一般人がごく普通に思い浮かべるのは「人を殺していることが明らかなのに起訴されない」場合でしょう。つまり「既遂犯で起訴猶予」です。これが4割なら確かに衝撃的な事実と言えます。だが、未遂及び予備も含めた殺人事件での起訴猶予率は、2011年度で僅か7.7%です*4 。内訳は不明ですが、殆どが未遂・予備と推定されます。これの一体どこが「衝撃的な事実」なのでしょうか。斎藤環氏もいくら日垣ファンだからと言って、日垣センセイと共にデマを撒き散らすのも大概にして欲しいです。


★参考資料

Amazonレビュー:感情的対立を煽るだけの悪しきジャーナリズム

平成24年版犯罪白書 資料2-3

そして殺人者は野に放たれる (新潮文庫)

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赤頭巾ちゃん気をつけて (新潮文庫)

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赤頭巾ちゃん気をつけて [DVD]

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ミカドの肖像(小学館文庫)

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こころの王国―菊池寛と文藝春秋の誕生 (文春文庫)

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ピカレスク 太宰治伝 (文春文庫)

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