KAFKAESQUE(日垣隆検証委員会)

主に作家の日垣隆、猪瀬直樹、岩瀬達也、岡田斗司夫、藤井誠二などを検証しているブログです。

痴愚神自讃ー検証・日垣隆『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』(その壱)

・初めて当エントリーを読まれる方は「日垣問題の記録 〜 日垣隆 研究報告 〜」「日垣隆(Wikipedia)」「ガッキィスレまとめサイト@ウィキ」の御一読をおススメします。
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※2015/7/12追記:エントリーを更新しました。



・現在、日垣センセイが公式サイト『ガッキィファイター』にて開講している英語塾こと「ほぼ毎日スパルタ英語強化塾」*1。そこで教材に使われているらしい(?)PDFファイルが、ネット上に流出しています。ざっと読む限り、日本語の地の文からして、日垣センセイ御本人が書いたものと思われますが……。

・11月に刊行された、ゆきの飛鷹氏の『愛し姫艶戯 春嵐の王子に攫われて』(講談社X文庫ホワイトハート)に既刊から約20ページの使い回しというか、ゆきの氏自身によるセルフコピペが発覚し、ホワイトハートX文庫の公式サイトでお詫びが出る騒ぎになっています。希望者には、2刷修正版との交換に応じるそうです。以下のリンク先の記事でも報じられていました。

講談社「愛し姫艶戯 春嵐の王子に攫われて」で約20ページの使い回し発覚 同一作者によるコピペかと話題に - ねとらぼ

記事によると、事故やミスではなく、そのままこっそり流用していたようです。セルフコピペと言えば、常習犯であるP&G(パクリ&ガセ)の誰かさんが、同一連載における過去の連載分の使い回し*2をやって、その結果、連載自体の即打ち切りに発展したことも*3

日垣センセイも、セルフコピペはともかく、ネタの使い回しは相当やっていますが……。


日垣隆の怪著『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』(講談社

日垣センセイの『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』(講談社、2011年4月28日第1刷発行)は、書き下ろしの「前篇(「電子書籍」を思考整理する)」に加えて、『週刊現代』(講談社)における自身のコラム「なんなんだこの空気はーメディア考現学」の一部の連載分を加筆修正して所収した「中篇(「滅びゆくモノたち」を思考整理する)」「後編(「生き残るコツ」を思考整理する)」から構成されている単行本ですが……その書名、内容、Amazon自作自演五つ星レビュー、そして「5刷問題」など突っ込みどころが満載で、どこから最初に突っ込むべきなのか。検証する側にとっても、実に厄介なガセまみれの駄本です*4。日垣センセイの根拠無き自慢話まで、これでもか、これでもかと、延々と書き連ねてある点も、読み手にとってはストレス以外の何物でもありません。

この怪著を評価しているのは、例によって日垣センセイの盟友たる小飼弾氏ぐらいでしょう……*5

気を取り直して、まずは既に検証され尽くした感もありますが……書名の一部にもなっている自称「電子書籍を日本一売ってみた」について、改めて本エントリーで検証していきます。


電子書籍を日本一売ってみた?

日垣センセイは本書*6の書名だけでなく、本文でも以下のように誇らしげに宣言しています。

そうです、私が第一人者です(笑)

今のところ個人で電子書籍をオリジナルで売っている書き手は、私のほかにあまりいません。いたとしても、実質の売り上げは私がトップだと思います。

記者会見もしないし、目立たないので、自分で言うしかないところが悲しいところであるような気もしますがー。

五木寛之さん、渡辺淳一さん、村上龍さん、大沢在昌さん、京極夏彦さんなどの大御所も、版元の大きなバックアップなどもあって、電子書籍への意欲的な取り組みをなさいました。『もしドラ1枚のみなのにリーチだけで勝っちゃったら』というのでしたか、いや、ともかく『もしドラ*7という2010年の電子書籍最大売り上げ部数ということになっている本もありますが、個人のトータルとしても、私の電子書籍の売り上げ総数はそれらを上回っています。

(略)

「2010年は電子書籍元年だ」と言っている人がたくさんいました。しかし、電子書籍で充分に採算をとれている人など数名しかいません。私がその一人、というか第一人者です。えっへん(笑)。
P18〜19


私は日本の著者のなかで、中身はともかく(笑)、電子書籍を自ら最も多く売っている著者であり、
P71

日垣隆電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』(講談社、2011年4月28日第1刷発行)P18〜19、P71


日垣センセイは「実質の売り上げは私がトップ(P18)」「『もしドラ』という2010年の電子書籍最大売り上げ部数ということになっている本もありますが、個人のトータルとしても、私の電子書籍の売り上げ総数はそれらを上回っています。(P18〜19)」と断言していますが……これは自称であって、その根拠となる具体的なデータ、つまり第三者による客観的な認定を受けた数値を一切示していません。「日本一売ってみた」のは、何を基準として比較対照したものなのか。基準とは、売上・部数・調査対象・集計期間などのことを意味します。本書をいくら読んでも、全く不明です。

このことについて、日垣センセイは自身のツイッターでも質問されたものの、相変わらず支離滅裂な回答ではぐらかしています*8

因みに、『もしドラ電子書籍版のダウンロード数(部数)は、2010年12月14日時点で約10万部*9、2011年4月15日時点で約13万部*10であり、2011年8月5日には約15万部*11を突破したそうです。



そもそも日垣センセイによる電子書籍の定義が、ハッキリしないのです。日垣センセイは電子書籍について、下記のようにそれぞれ言及しています。

このようにして私は、電子書籍(PDFやメルマガを含む)を、自分のメディアから発信し、なおかつ課金できるタイミングを、ずっと見計らってきました。

「ガッキィファイター」は00年、無料メルマガとしてスタートしました。
P24

すべては「魔羅」から始まった

私の記念すべき電子書籍第1号は、01年に自サイトで世に出し、その9年後に理想書店電子書籍のネット販売店)とAPP Storeから出した『魔羅の肖像ールーヴル美術館を笑ふー』でした。

ルーヴル美術館で男性の塑像をすべて撮影し(50体ほどありました)、それに私の解説を附したフォトエッセイです。
P27

有料メルマガ(これも電子書籍の一形態ですよね)も海外版も含めて二番目に多くの読者に恵まれている身なので、それなりに考える資格もあるかと思います。
P71

日垣隆電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』(講談社、2011年4月28日第1刷発行)P24、P27、P71


「有料メルマガ(これも電子書籍の一形態ですよね)も海外版も含めて二番目に多くの読者に恵まれている(P71)」という有料メルマガの発行部数は客観的な根拠が一切無く、虚偽の可能性が極めて高い*12。そもそも、日垣センセイは電子書籍にPDFはおろか、2000年(自称)に始めたという自身のメルマガも含めて定義する一方、2001年に公式サイトへ出したフォトエッセイ『魔羅の肖像ールーヴル美術館を笑ふー』*13を「私の記念すべき電子書籍第1号(P27)」と謳っているのですから、何をもって「電子書籍」とみなしているのか。これでは、訳が分かりません。

尚、日垣センセイは「「ガッキィファイター」は00年、無料メルマガとしてスタートしました。(P24)」と書いていますが、時期は明らかに間違っています。無料メルマガ「ガッキィファイター速報」の第1号の配信日は、2001年3月26日です*14。他方、有料化した現在のメルマガ「ガッキィファイター」の第1号の配信日は、2002年10月14日です。自分のメルマガの最初の配信日ぐらい、覚えておくべきでは。



さらに電子書籍の作成・販売を始めた時期についても、日垣センセイの記述には、本書と別の著書、「日刊サイゾー」でのインタビューとの間で食い違いが見られます。

電子書籍元年と言われるが(これで何度目だー笑)、私自身は86年に初の電子書籍を作っているし、販売を始めたのは01年からである。

日垣隆電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』(講談社、2011年4月28日第1刷発行)P256

私が電子書籍について準備を開始したのは、一九八七年のことだ。

日垣隆『こう考えれば、うまくいく。』(文藝春秋、2010年12月15日第1刷)P13

*15 13年前に著作物をPDFに乗せて配信を始めました。まだPDFのバージョンが1.0で、作成ソフトが当時は7万円くらいしたと思いますが。メディアとして残るかどうかさえ読めなかったけど。今はiPadiPhoneでも当たり前に使われていて、こんなに一般化するとは正直思いませんでしたね。

"知の暴君"日垣隆氏がサイゾーに降臨 Web3.0時代を語る!(日刊サイゾー、2010.07.21水)*16


日垣センセイは、果たして何時頃から電子書籍の作成・販売を始めたのでしょう……。


余談ながら、根拠及び客観性の無い「〇〇No.1」「〇〇日本一」といった表示は、景品表示法違反だそうです*17。書名詐欺の本書ですが、版元の講談社もよくもまあ許可したものです。


★参考資料

Amazonレビュー:読者が何も気づかないとでも考えているのか

Amazonクチコミ:本当に「日本一」売ったの?

日垣隆氏(@hga02104)の『電子書籍を日本一売ってみたけれど、 やっぱり紙の本が好き』は嘘? - Togetter

日垣隆先生 メルマガの歴史を語る - Togetter

日垣問題の記録 ~ 日垣隆 研究報告 ~: 日垣隆著『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』の内容に対する問題

日垣問題の記録 ~ 日垣隆 研究報告 ~: Amazon自作自演騒動

日垣問題の記録 ~ 日垣隆 研究報告 ~: 5刷問題

日垣問題の記録 ~ 日垣隆 研究報告 ~: 日刊サイゾー「″知の暴君″日垣隆氏がサイゾーに降臨 Web3.0時代を語る!」に対する指摘

日垣問題の記録 ~ 日垣隆 研究報告 ~: 『情報の技術』のPDFは何部売れたのか 日刊サイゾー編

http://www.jftc.go.jp/pressrelease/08.june/08061302.html

電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。

電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。

こう考えれば、うまくいく。

こう考えれば、うまくいく。

愛し姫艶戯 春嵐の王子に攫われて (講談社X文庫)

愛し姫艶戯 春嵐の王子に攫われて (講談社X文庫)

痴愚神礼讃 (中公クラシックス)

痴愚神礼讃 (中公クラシックス)

*1:「ほぼ毎日スパルタ英語強化塾」 2013年会費 【一般価格】 「ほぼ毎日スパルタ英語強化塾」 2013年会費 【メルマガ読者特割】

*2:唐沢俊一のネタの使い回し・その9。 - 唐沢俊一検証blog

*3:『唐沢俊一のトンデモクロペディア』連載終了。 - 唐沢俊一検証blog

*4:日垣問題の記録 ~ 日垣隆 研究報告 ~: 日垣隆著『電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』の内容に対する問題 日垣問題の記録 ~ 日垣隆 研究報告 ~: Amazon自作自演騒動 日垣問題の記録 ~ 日垣隆 研究報告 ~: 5刷問題 5刷問題 - ガッキィスレまとめサイト @ ウィキ - アットウィキ

*5:404 Blog Not Found:書評 - 電子書籍を日本一売ってみたけれど、 やっぱり紙の本が好き

*6:日垣隆電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。』(講談社、2011年4月28日第1刷発行)のこと。

*7:岩崎夏海もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(ダイヤモンド社)のこと。

*8:日垣隆氏(@hga02104)の『電子書籍を日本一売ってみたけれど、 やっぱり紙の本が好き』は嘘? - Togetter

*9:http://moshidora.jp/?p=920 すごく具体的な電子書籍販売数のまとめ - NAVER まとめ

*10:http://moshidora.jp/?p=1361

*11:http://moshidora.jp/?p=1738

*12:日垣隆先生のメルマガ部数 - Togetter

*13:『魔羅の肖像ールーヴル美術館を笑ふー』については、2001年3月にルーヴル美術館で撮影をしていたことが、日垣隆『何でも買って野郎日誌』(角川書店、平成13年11月30日初版発行)P94〜95に記されている。

*14:日垣隆先生 メルマガの歴史を語る - Togetter

*15:言うまでもなく、日垣センセイ御本人のことである。

*16:“知の暴君”日垣隆氏がサイゾーに降臨 Web3.0時代を語る!|日刊サイゾー

*17:http://www.jftc.go.jp/pressrelease/08.june/08061302.html